JISQ9100

品質マネジメントシステム-航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項

1.はじめに

JIS Q 9100は、IAQG(国際航空宇宙品質グループ)が航空宇宙産業向けの製品やサービスの品質と信頼性を高めることを目的に作成した品質マネジメントシステム規格IAQS 9100に基づき、日本の航空宇宙品質センター(JAQG)がJISとして制定したものです。米国のAS9100および欧州のEN9100も同様に作成され、これらは同じ世界標準の航空宇宙産業における品質マネジメントシステム規格となっています。ISO9001の2008年改訂に伴い、JIS Q 9100:2009規格へ改訂されました。

JIS Q 9100の認証取得により、組織は自動的にIAQG(国際航空宇宙品質グループ)のベンダーリストである国際的なIAQG-OASISデータベースに登録されます。日本企業はJIS Q 9100の認証を取得すれば、アメリカ、ヨーロッパ等の顧客との契約のために、新たにAS9100やEN9100の認証を取得する必要はありません。現在、データベースへの登録件数は世界で約9000事業所、日本からは約300事業所となっています。

欧米の航空宇宙関連製造企業(プライムメーカー)では9100規格への適合/第三者認証取得が契約条件となっています。国内主要企業、防衛庁、宇宙航空研究開発機構(JAXA)なども調達品の品質要求としてJIS Q 9100認証取得を推奨または要求しています。従って、この規格の認証取得は、日本国内はもとより欧米の航空宇宙産業市場への参入を意図する組織にとって必須と言えるでしょう。

JISQ9100制度

JIS Q 9100の認証は、航空、宇宙、防衛分野の製品を設計・開発、製造する組織だけではなく、商社、修理など関連するサプライチェーン全般で取得できます。また、メンテナンス・補修業者、卸売業者及び小売業者についてはより特化した規格として、それぞれAS/EN9110規格、AS/EN9120規格も用意されています(ただし、2010年3月現在日本語訳は出版されていません)。

2.JIS Q 9100:2009とは

JIS Q 9100は、ISO9001規格に航空・宇宙・防衛産業界固有の要求事項を追加して作られています。追加された主要な要求事項を次に示します。

  • ① リスクマネジメントによって、製品実現の過程及び製品の使用時における重要管理項目(クリティカルアイテム)の管理を行う
  • ② 顧客満足の監視に、製品と納期の適合性の測定を含め、必要な処置を取る
  • ③ 識別、トレーサビリティにおいて形態管理(コンフィギュレーションマネジメント)を行う
  • ④ 初回製品検査(FAI)の実施
  • ⑤ 引渡し後の支援の要求

3.JIS Q 9100:2009規格要求事項

表1.JIS Q 9100要求事項及び追加要求内容を参照してください。元になるISO9001の要求事項と追加されたJISQ9100の要求事項を示しています。

4.JIS Q 9100認証取得のメリット

欧米の航空機製造企業では9100規格の認証取得が調達の契約条件となっている場合が多く、日本においても防衛省、宇宙航空研究開発機構、三菱航空機、その他主要な航空機関連企業は調達先にJIS Q 9100認証取得を推奨または要求しています。

JIS Q 9100認証取得は、企業に次のようなメリットをもたらします。

  • ① JIS Q 9100認証取得情報は世界共通データベースに登録・公開されることより、世界の航空宇宙メーカとの取引の機会が得られ、広範なビジネス展開が期待出来る。
  • ② JIS Q 9100によるマネジメントシステムは、安全・信頼性に関するリスクマネジメントに基づくより高度な品質マネジメントシステムを可能とする。
  • ③ JIS Q 9100認証取得により、顧客による監査が免除あるいは簡素化され、顧客及び組織双方に監査等の費用が軽減され、コストダウンのメリットが得られる。

5.JIS Q 9100の審査、認定機関

JIS Q 9100規格の認証取得は、ISO9001と同様な審査方法がとられますが、現在次のような組織で行われています。

  • ①認定機関
    • 日本適合性認定協会(JAB)
  • ②認証機関(審査実施機関)
    • 日本品質保証機構(JQA)
    • 防衛調達基盤整備協会(BSK)
    • 日本検査キューエイ(株)(JICQA)
    • ロイドレジスター(LRQA Japan)
    • ビューローベリタス(Bureau Veritas Japan)

6.認証取得活動のステップ

JIS Q 9100規格の認証取得は、ISO9001と同様な審査方法がとられますが、現在次のような組織で行われています。

  • (1) 経営者の意志決定
  • (2) 推進組織(委員会)の設置
  • (3) JIS Q 9100規格要求事項の理解
  • (4) 現状把握
    • 現行文書の確認、申請不足資料の確認
    • 法律、その他基準・標準、ガイドライン・指針などの確認
  • (5) システム構築
    ① 品質マネジメントシステムの文書作成
    • マニュアル、規定類の作成
    • 作業手順書、標準書、台帳、リストの作成
    • 帳票類の整備、作成
    ② 方針、目標、実行計画の策定、見直し
  • (6) 申請
    審査機関に認証取得の審査を申し込む(審査申請書類)。場合によっては、確認のため審査機関からの訪問があります。
  • (7) システムの運用・実施
    ①従業員の教育、記録
    ②内部監査員の養成(内部監査員養成セミナー2日)
    ③内部監査の実施、記録
    ④マネジメントレビューの実施、記録
  • (8) ファーストステージ(1次)審査
    システムの構築状況を文書で確認するとともに、内部監査及びマネジメンとレビューの実施状況を確認し、セカンドステージ審査の実施の可否を判断します。
    この審査での指摘事項は、セカンドステージ審査までに改善しておくことが望ましい。
  • (9) セカンドステージ(2次)審査
    ファーストステージ審査の1ヶ月以上後に、運用・実施状況も含め、システムがJIS Q 9100規格の全ての要求次項を満たしているかどうか審査します。
    この審査で不適合指摘があれば、是正処置報告書の提出が必要です。受理されたのち登録証が発行されます。

注意事項:上記のステップは一つの例です。実際には必ず審査機関に問い合わせてください。

7.テクノソフトのコンサルティング内容

  • (1) JIS Q 9100規格の解説
  • (2) 推進体制と責任者の任命についてアドバイス
  • (3) システム構築の支援
    ISO9001審査員資格を持ち、マネジメントシステム構築に十分な経験を持つコンサルタントと航空、防衛分野に詳しいコンサルタントのチームでシステムの構築、文書作成の支援を行います。
    • マニュアル作成
    • 文書・手順書類の作成
    • 不足データ・資料の作成
    • 関連文書類整備
  • (4) 運用
    関連従業員の教育及び必要に応じて内部監査員の養成を行います。また、記録が必要な次の項目について支援します。
    • 内部監査の実施
    • マネジメントレビューの実施
  • (5) 審査対応、是正処置
    • ファーストステージ審査での指摘への対応:文書修正、改定の支援
    • セカンドステージ審査での指摘への対応:是正処置計画の作成、是正処置の支援

8.支援取得スケジュール

表2.JIS Q 9100認証取得スケジュールを参照してください。

表1.JIS Q 9100要求事項及び追加要求内容

JISQ9100要求事項 9001 9100追加要求事項 9001から9100に追加された主な要求内容
1. 適用範囲
   
2. 引用規格
   
3. 用語及び定義
  リスク、特別要求事項、クリティカルアイテム、キー特性の定義
4. 品質マネジメントシステム
   
4.1 一般要求事項
   
4.2 文書化に関する要求事項
   
4.2.1 一般
   
4.2.2 品質マニュアル
   
4.2.3 文書管理
   
4.2.4 記録の管理
   
5. 経営者の責任
   
5.1 経営者のコミットメント
   
5.2 顧客重視
  製品要求事項への適合性の測定、処置を確実にする
5.3 品質方針
   
5.4 計画
   
5.4.1 品質目標
   
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
   
5.5 責任、権限及びコミュニケーション
   
5.5.1 責任及び権限
   
5.5.2 管理責任者
   
5.5.3 内部コミュニケーション
   
5.6 マネジメントレビュー
   
5.6.1 一般
   
5.6.2 マネジメントレビューへのインプット
   
5.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット
   
6. 資源の運用管理
   
6.1 資源の提供
   
6.2 人的資源
   
6.2.1 一般
   
6.2.2 力量、教育・訓練及び認識
   
6.3 インフラストラクチャー
   
6.4 作業環境
   
7. 製品実現
   
7.1 製品実現の計画
  製品に対する品質目標と要求事項を明確化する際に考慮すべき項目を提示
7.1.1 プロジェクトマネジメント
  許容されるリスクの下での製品実現の計画(品質計画)及び管理に関する要求事項
7.1.2 リスクマネジメント
  リスクマネジメント関する要求事項
7.1.3. 形態管理(コンフィギュレーションマネジメント)
  構成管理(コンフィグレーションマネジメント)に関する要求事項
7.1.4 作業移管の管理
  作業工程を他所へ移す/委託する場合の計画、実施、検証に関する要求事項
7.2 顧客関連のプロセス
   
7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
   
7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー
  特別要求事項及びリスクの明確化
7.2.3 顧客とのコミュニケーション    
7.3 設計・開発
   
7.3.1 設計・開発の計画
  計画時に考慮すべき項目を提示
7.3.2 設計・開発へのインプット
   
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
  クリティカルアイテムとそれに対する処置、検査・使用・保守に関するアウトプット
7.3.4 設計・開発のレビュー
   
7.3.5 設計・開発の検証
   
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
   
7.3.6.1 設計・開発の検証及び妥当性確認の試験
  検証、妥当性確認で実施する"試験"に対する要求事項
7.3.6.2 設計・開発の検証及び妥当性確認の文書化
  妥当性確認の要求事項(実際の使用条件下で要求事項を満たすことを実証する)
7.3.7 設計・開発の変更管理
  変更は形態管理(7.1.3)に従って管理する
7.4 購買
   
7.4.1 購買プロセス
  供給者に対する具体的な管理項目を提示
7.4.2 購買情報
  供給者へ要求すべき具体的項目を提示
7.4.3 購買製品の検証
  供給者に検証を委譲する場合、委譲する内容を定め維持する
7.5 製造及びサービス提供
   
7.5.1 製造及びサービス提供の管理
  製造・サービスの管理に、異物混入への対応、ユーティリティの管理、クリティカルアイテムの管理、ばらつきの測定、特殊工程が含まれる
7.5.1.1 製造工程の検証
  初回製品検査に関する要求事項
7.5.1.2 製造工程の変更管理
  製造工程の変更に関する要求事項(文書化し、妥当性を評価する)
7.5.1.3 製造設備,治工具及びソフトウエアプログラムの管理
  設備、治工具、ソフトウエアの妥当性確認と点検に関する要求事項
7.5.1.4 引渡し後の支援
  引渡後の活動に関する管理が必要な具体例を提示
7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認
  (特殊工程に限定)
7.5.3 識別及びトレーサビリティ
  トレーサビリティの具体的な範囲を提示
7.5.4 顧客の所有物
   
7.5.5 製品の保存
  製品の保存に含めなければならない具体的な項目を提示
7.6 監視機器及び測定機器の管理
   
8. 測定、分析及び改善
   
8.1 一般
   
8.2 監視及び測定
   
8.2.1 顧客満足   顧客満足を監視するための情報に、製品の適合性、納期達成、苦情・是正要求に関するものを含める
8.2.2 内部監査
   
8.2.3 プロセスの監視及び測定
  プロセスが不適合な場合の処置項目を提示
8.2.4 製品の監視及び測定
  クリティカルアイテムの監視、抜き取り検査の統計的根拠、不適合製品の回収・交換に関する要求
8.3 不適合製品の管理
   
8.4 データの分析
   
8.5 改善
   
8.5.1 継続的改善
   
8.5.2 是正処置
  効果的な是正処置がとられていない場合の対応、不適合の水平展開の要求
8.5.3 予防処置    

表2.JIS Q 9100認証取得スケジュール

活動項目 スケジュール(月)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13


(1) 推進組織(委員会)の設置
                       
(2) JIS Q 9100規格要求事項の理解
                       
(3) 現状把握
                     
(4) システム構築              
 ・マニュアルの作成
                       
 ・規定類の作成
                   
 ・手順書、一覧、リストの作成
                   
 ・帳票の整備、作成
                 
 ・方針、目標、実行計画の策定                      


(5) システムの運用・実施
           
 ・従業員の教育、記録
                       
 *内部監査員養成セミナー(2日)
                       
 ・内部監査実施、記録
                       
 ・マネジメントレビュー実施、記録
                       
(6) ファーストステージ審査への対応                        
(7) セカンドステージ審査への対応                        


審査機関への審査申請
                       
ファーストステージ(1次)審査
                       
セカンドステージ(2次)審査
                       
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