BCPコラム 第2回 事業継続計画(BCP)の取り組み

企業規模によるBCP取り組み比率の格差

2011年に発生した東日本大震災以来、事業継続マネジメント(Business Continuity Management(以下「BCM」))の重要性が明らかになりました。
防災白書2021年版によると、内閣府が2020年2月に実施した「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の調査結果は、BCPを策定した企業は大企業(資本金10億円超)68.4%、中堅企業(資本金10億円以下、製造業3億円超、卸売業1億円超、小売・サービス業5千万円超)、34.4%で、策定中を含めると大企業は約83%、中堅企業は約53%が取り組んでいます。

 

表1、2:大企業と中堅企業のBCP策定状況

表1:大企業のBCP策定状況

表2:中堅企業のBCP策定状況

資料:「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」より内閣府作成
出典;防災白書2021年版

 

一方で、中小企業白書によると、中小企業(資本金、製造業3億円以下、卸売業1億円以下、小売・サービス業5千万円以下)のBCPの策定状況を見てみると、BCPを策定している割合は2019年(令和元年)で12%と、出典が違うとはいえ、大企業、中堅企業のBCP策定割合と大きく差が開いていることが判ります。
その後もBCPを策定している中小企業は、毎年増加傾向にあるものの、半数近くは時期によらず策定していないという回答となっています。

 

表3:事業継続計画の策定状況の推移(中小企業)

表3:事業継続計画の策定状況の推移(中小企業)

資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」(2019年、2020年5月、2021年の各5月)
出典;防災白書2021年版

 

中小企業によるBCP取り組み状況

表4は、BCPを「策定している」と回答した企業において、どのような効果があったと感じているかを示したものです。「従業員のリスクに対する意識が向上した」という回答が半数以上存在するほか、「事業の優先順位が明確」や「業務の定型化・マニュアル化」「業務の改善・効率化」など、日頃の業務改善にも効果が表れていることが見て取れます。また「取引先からの信頼」といったように、自社の価値向上にもつながっていることが見て取れます。

 

表4:事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業、回答上位)

表4:事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業、回答上位)

資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」(2021年5月)
(注)1.事業継続計画(BCP)を「策定している」と回答した企業に対して聞いたもの。
2.複数回答のため、合計しても100%にならない。
出典;防災白書2021年版

 

一方、表5はBCPを「策定していない」と回答した企業に対して、その理由を尋ねたものです。これを見ると、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」や「実践的に使える計画にすることが難しい」など、BCPに対する敷居の高さが存在する可能性が見て取れます。一方で、「策定する人材や時間の確保ができない」や「策定の効果が期待できない」に加え、2割程度が「必要性を感じない」と回答するなど、BCPに対する優先度が高くない企業も少なくないことが見て取れます。

 

表5:事業継続計画(BCP)を策定しない理由(中小企業、回答上位)

表5:事業継続計画(BCP)を策定しない理由(中小企業、回答上位)

資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」(2021年5月)
(注)1.事業継続計画(BCP)を「策定していない」と回答した企業に対して聞いたもの。
2.複数回答のため、合計しても100%にならない。
出典;防災白書2021年版

 

次回のコラムは、自社の自然災害に対する危険度のチェックの仕方について考察します。

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