コラム

ベテラン審査員から視たISO14001の改善 - 経営に役立てるために

  • 共通して感じることは、トップマネジメントがISO14001の導入・運用に関してその目的を明確に持ち、その意思が環境方針等を通じて組織の全員に周知されている場合には、環境マネジメントシステム(EMS)が経営管理のツールとして機能し、うまくPDCAが回り、システム自体及びパフォーマンスの改善が継続的に図られ効果をあげているケースが多い。

  • ISO14001の認証のみを目的として取得し、今でも環境目的・目標に紙、ごみ、電気の削減を設定・運用から抜け出していない組織も若干認められるが、これらの組織でも、かくありたいとの経営課題、業務課題を環境目的・目標等の計画に追加して取組むことにより経営ツールとしての効果が期待できる。(経営課題の例:「2014年度までに工場のCO2排出量を段階的に2010年度比70%に削減し、環境対応型の事業を目指す」など)
    経営トップ、管理者層を含め改めてISO14001規格の意図(マネジメントシステム・パフォーマンスの改善)を理解し、日常の事業活動の業務改善項目を含めて計画し、経営に貢献するツールとして運用することが必要である。それには、次の視点から現在のISO14001を見直し、改善する必要がある

    • 1) ISO14001のチェック機能である内部監査は、多くの組織で取決めたルールの順守や非効率な手順のムダ取りなどの適合性監査に、問題発見監査、業務改善監査の機能を拡充させる必要性を感じる。即ち、システム・パフォーマンス及び順守監査が実施されており、且つ、経営トップに対して経営に貢献できる改善提案が行なわれているか?である。
    • 2) 事業計画(中長期の経営計画等)と整合した形で環境方針及び環境目的・目標、実施計画等が設定されているか?業務改善計画とISO14001の整合が取られているか?
    • 3) ISO14001構築・運用等には人・物・金そして情報の経営資源が投入されるので、費用対効果が考慮されているか?
    • 4) ISO14001は、単独でのマネジメントシステム構築を要求しているものではない。他のマネジメントシステムをも導入している組織ではISO14001との統合など効果的に構築・運用されているか?がポイントとなる。
  • 新たにISO14001導入を目指す小さな組織は、経営資源が限られる中で、著しい環境側面に関係する当面のコスト削減や法令順守等に的を絞り、目に見える利益が見込まれるものからはじめるのも一つの方法である。(ISO14004参照)

  • ISO14001の構築・運用に関して成熟しつつある組織では、問題発生後の対応となる是正処置は当然のこととし、汚染の予防(新製品及びサービスの設計開発とそれに伴うプロセスの開発に組み込むことができる)や事業活動における不祥事(法令違反等)の未然防止等、予防管理に重点を置くことが必要と感じる。

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