コラム

ベテラン審査員から視たISO9001の改善 - ISOの運用と審査

企業は審査に何を期待しているのでしょうか

企業からの審査後のアンケートには、以前は「適合性のみの審査を希望する」とのコメントが少なからず視られました。ISO9001の規格が、2000年版、2008年版と改訂を重ねるにつれ"顧客満足の向上のために"そして"望まれる成果を得るために"とISO9001が目指すところは、規格が企業様の発展に大いに貢献することを意図するようになりました。従って審査に対して企業が期待するところは、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)アンケート結果によると

1. 組織のシステムの課題解決に役立つ審査
2. 組織のパフォーマンスの向上に貢献する審査
3. 業種特性を十分理解した審査員による審査

1.2.は半数以上の企業様が期待しています。これらの期待は、経営者はISOを経営のツールとしようとしていることが大いに窺えます。さらに別の視点での期待は、

1.:マネジメントシステムや改善活動推進の息切れをISO審査で食い止めて欲しい、提言して欲しい。
つまり、定期的に実施される審査を“外部からの刺激”としてだけで受け入れるのではなく“難題を抱えて壁にぶち当たっている改善活動に対して”、問題点や解決に繋がる選択肢を第三者の目で視て、“当事者・担当者の気付き”に繋がることを期待しています。

2.:どこを上げれば次のステップに行けるのかが審査への期待
これは、審査員の質問事項が、現状把握の結果として“ポイントを付いている”内容であれば、当事者・担当者は、現場を最もよく知っているので、問題解決の糸口を見出せることになると思います。

特に経営者は審査で何を知りたいと思っているのか

審査側から視て、"ISOの運用の評価は良いのか"に大いに関心を寄せているはずです。さらに日頃の内部コミュニケーションについて、必要な現場報告が、経営トップに適切に挙がって来ているのか、審査結果に注目しています。そして、経営者は、"顧客の目線で見てもらいたい"、"お客様になり代わってシステムを審査して欲しい"と思っています。

企業から審査結果に対してどのような反応があるのでしょうか

審査後のアンケートに多く視られる企業の期待に対する回答は、

1. 今後のISO活動の動機付けになった。
2. 改善や課題解決に繋がった。
3. 経営に役立つところがあった。

審査の実施状況に関する回答としては、

1. 組織の自主性・自立性が配慮されていた。
2. 組織の業務の流れに沿って現場審査が行われた。
3. 組織とのコミュニケーションは、非常に良かった。
4. 組織の事業規模・業務規模を認識した審査が実施された。

などの回答が寄せられ、これらは、審査機関が常に審査目標としていることであり、顧客満足を推し量る結果となっています。無論、中には改善が必要となる内容の回答もあります。

1. 審査員の態度が高圧的であった。
2. 審査が非常に細かいにも関らず、結果は甘かった。
3. 改善や課題解決に繋がる内容ではなかった。

などの厳しい評価結果もありますが、審査員が企業様から次のような審査コメントを頂いたとき“今回の審査は、顧客満足に繋がった”と実感できることになります。

“ISOをより実態に即した運用になるよう指摘頂き大変為になりました。さらに改善活動を行い全社挙げて品質向上に努めたいと考えております。”

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