コラム

ベテラン審査員から視たISO9001の改善 - 内部監査 - 1

最近の内部監査の結果は不適合ゼロ、観察事項1~2件という状況が続いています

不適合が発見されない、又は発見出来ない理由は、二つあると思います。

一つは、ISO実績の長い企業様の品質マネジメントシステム(QMS)に関し、結果として適合性のみを監査しているのであれば、不適合は発見されにくくなり、観察事項程度が発見される状況でしょう。ここで再確認しなければならないのは、内部監査の目的です。規格8.2.2のa)は適合性を確認することを要求していますが、b)は、"品質マネジメントシステムが効果的に実施され、維持されているか"を目的として内部監査を実施するように要求しています。このb)をしっかりと反映した内部監査が実施されていないため不適合が発見されにくくなっていると言えるでしょう。

もう一つは、内部監査員の力量が関係しています。規格要求事項の理解に基づく"決められたことが守られているか"を確認できる"適合性監査"力量からさらに"計画や目標が達成されているか、"すなわち品質マネジメントシステムの有効性を追及し、そこに潜む問題点を被監査側に気づかせる"有効性監査"力量か必要で、この力量が不適合発見の可能性の高い監査結果となり、そして企業内の業務改善に繋がるわけです。

不適合すなわち問題点の発見に繋がる監査とはどのような監査を計画すればよいのですか

監査計画を立案する時、規格要求事項を総て監査項目として実施するように計画し、被監査部署あるいはプロセスと関連の深い規格要求事項を監査対象することを考慮して計画を作成しているのが企業様の一般的な監査計画となっています。このことは規格要求の"監査対象の領域及びプロセスの状態と重要性"を考慮した結果ですが、ここで最初のフレーズで述べた内部監査の目的に注目する必要があります。

"品質マネジメントシステムが効果的に実施され維持されているか"すなわちプロセスの状態に焦点を当てます。監査事務局及び管理責任者は、各プロセスにおける、組織変更による変更管理、マネジメントレビューの結果及び指示、計画・目標を達成する上での課題、クレーム・社内不良に対する是正処置、業務環境の変化等々に注目し、監査計画時に重点事項を設定し、監査チームに監査のポイントとするよう指示します。

監査のポイントについて監査を行うにはどのようにしたらよいのですか

監査の方法としては、監査において質問項目と内容を「チェックシート」にして監査に臨んでいると思いますが、多くの企業様で作成されている「チェックシート」の内容は、規格要求事項の裏返しで、しかもyes/noで答えられる質問形式が多く、かなり長期間同じ「チェックシート」が使用されています。

この「チェックシート」ですと"適合性監査"の域を出ることは出来ないでしょう。監査のポイントが「年度品質方針と品質目標」であれば、このポイントに対する監査対象プロセスの取組み状況をPDCAで質問する「チェックシート」を作成し、監査に臨みます。

例としては、年度品質方針に沿った品質目標が設定され、達成のための具体的計画が作成されているか(P)、計画に従って実行され進捗管理が適切か、必要な場合は見直されているか(D)、システムは改善され成果は出ているか(C)、運用により明らかになった課題に対し処置が計画実施され、新たな業務改善に取組んでいるか(A)である。

そして監査事務局又は管理責任者は、「チェックシート」にこの監査ポイントが反映されているか、事前に確認してみることも必要となります。

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