ISO発行・改訂情報
ISO/FDIS 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)の概要
ISO9001:2015移行支援はこちらをご覧ください。
1.改訂版ISO9001の発行時期
2015年7月にISO 9001:2008「品質マネジメントシステム-要求事項」の改訂版(案)にあたるFDIS 9001(最終国際規格案/Final Draft International Standard)が発行されました。今後、FDIS投票を経て、今年9月頃に、ISO 9001:2015が発行される予定です。
それに伴いISO 9001:2015発行後3年以内に新規格に移行する必要があり、移行審査を受けるにあたっては、QMS(品質マネジメントシステム)を改訂版ISO 9001に準拠して変更・運用している実績(内部監査、マネジメントレビュー)が必要となります。また、運用開始時には、改めて新QMSの社員教育や内部監査員への教育も必要となります。
2.FDIS 9001の構成
ISO 9001:2015版は、構成が大きく変わります。MSS共通テキスト(HLSとも呼ばれる)を採用して開発されており、箇条4~10からなるPDCA(Plan:箇条4~7 Do:箇条8 Check:箇条9 Act:箇条10)で構成されています。
また、ISO 14001(環境)も、同様の箇条10からなる構成で改訂作業中であり、ISOマネジメントシステム規格構成の共通化が進んでいます。
ISO/FDIS 9001の構成 | |
---|---|
Plan (計画) |
4 組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解 |
5 リーダーシップ 5.1 リーダーシップ及びコミットメント |
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6 計画 6.1 リスク及び機会への取組み |
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7 支援 7.1 資源 |
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Do (実施) |
8 運用 8.1 運用の計画及び管理 |
Check (チェック) |
9 パフォーマンス評価 9.1 監視、測定、分析及び評価 |
Act (処置・改善) |
10 改善 10.1 一般 |
3.FDIS 9001の主な改訂内容
FDIS 9001の主な改訂内容は、現行のISO 9001の基本的な取組みを活かしながら、他のISOマネジメントシステムの規格構成の共通化に伴い、全体的に強化・明確化されているのが特徴です。
今回の改訂は、一見大きな変更は無いように見受けられますが、①HLS採用による構成の変更や、②リスク及び機会取り組み、新たに追加・補強される要求事項に対応するためには、相当な負荷が掛かると推測されます。
章 | 【条項番号】 改訂ポイント |
ISO9001:2008 との比較 |
|
---|---|---|---|
新規 | 強化 | ||
4. 組織の状況 | 【4.1】組織及びその状況の理解として、組織の外部/内部の課題を決定する。 | ○ | |
【4.2】利害関係者とそのニーズ及び期待を決定する。 | ○ | ||
【4.3】QMSの適用範囲を定めるため、その境界及びその適用可能性を決定する。 | ○ | ||
5. リーダーシップ | 【5.1.1】事業プロセスへのQMS要求事項の統合。プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。 | ○ | |
6. 計画 |
【6.1】リスク及び機会を決定し、取り組むプロセスをQMSに統合し、実施・有効性を評価する。(予防処置を取り込む) | ○ | |
【6.2】品質目標及びそれを達成するための計画策定:プロセスに対する目標確立をする。 | ○ | ||
7. 支援 |
【7.1.2】 QMSの有効な運用に必要な要員を提供する。 | ○ | |
【7.1.4】 プロセスの運用に関する環境(社会的、心理的、物理的)を管理する。 | ○ | ||
【7.1.6】製品及びサービスの適合を達成するための組織の知識を決定し、利用できる状態にする。 | ○ | ||
【7.4】内部及び外部のコミュニケーションを決定する。 | ○ | ||
【7.5】“文書”“記録”の表現が“文書化した情報”に統一された。 | ○ | ||
8. 運用 |
【8.1】QMS運用のプロセスを計画する。また、計画の変更によって生じた結果をレビューし、有害な影響を軽減する処置をとる。 | ○ | |
【8.2.4】 製品及びサービスに関する要求事項が変更されたされた場合に、関連する情報を変更する。 | ○ | ||
【8.3】製品及びサービスへの要求事項が確立されていない場合、又は明確にさえていない場合には、設計・開発プロセスを確立する。レビュー・検証・妥当性確認が一つの要求事項にまとめられた。 | ○ | ||
【8.4.1】外部提供者から直接顧客に引き渡される場合、製品及びサービスが規程要求事項に適合していることを確実にする。 | ○ | ||
【8.4.3】外部提供者の施設で実施する検証又は妥当性確認活動の情報提供など。 | ○ | ||
【8.5.1】ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。 | ○ | ||
【8.5.6】製品及びサービス提供に関する変更は、要求事項への継続的な適合に必要な程度までレビューし、管理する。 | ○ | ||
【8.7】 不適合なプロセスアウトプットを管理する。 | ○ | ||
9. パフォーマンス評価 |
【9.1】品質パフォーマンスとQMSの有効性を評価する。 | ○ | |
【9.3】マネジメントレビューのインプットに、QMSの外部及び内部の課題の変化等が追加された。 | ○ | ||
10. 改善 | 【-】予防処置の要求はなくなった。ただし、【4.1】【6.1】項で同様の取組みが要求される。 | △ |
4.推奨される改正対応
- 品質マニュアルをISO 9001:2015に合わせて全面的に改訂する。
- 現実に即し、活用しやすいように、業務プロセスの規定や手順を改訂し、ムリ・ムダのないマネジメントシステムにリフォームする。
- ISO 9001:2015に適合したQMSを運用して、内部監査、マネジメントレビューを実施し、移行審査に備える。
- 経営と一体となった有効的なマネジメントシステムを構築し、成果が出るように運用する。
- ISO 14001(環境)等、他のマネジメントシステムとの一元化も視野に入れて見直しする。