ISO発行・改訂情報

ISO/DIS 9001(品質マネジメントシステム-要求事項)の概要

ISO9001:2015移行支援はこちらをご覧ください。

1.改訂版ISO9001の発行時期

 2014年5月9日に、ISO 9001:2008「品質マネジメントシステム-要求事項」の改訂版(案)にあたるDIS 9001(国際規格原案/Draft International Standard)が発行されました。

 DIS 9001は、各国のISO加盟機関で構成される委員会での審議・投票を経て、2015年7月頃に、FDIS 9001(最終国際規格案/Final Draft International Standards)として発行された後、2015年9月頃に、改訂版としてISO 9001:2015が発行される予定です。(2015年4月9日現在の情報)

 また、改訂版ISO発行後3年以内に改訂新規格に移行する必要があり、移行審査を受けるにあたっては、QMS(品質マネジメントシステム)をISO 9001:2015版に準拠した変更・運用している実績(内部監査、マネジメントレビュー)が必要となります。また、運用開始時には、改めて新QMSの社員教育や内部監査員への教育も必要となります。

2.DIS 9001の構成

 ISO 9001:2015版は、構成が大きく変わります。MSS共通テキスト(HLSとも呼ばれる)を採用して開発されており、箇条4~10からなるPDCA(Plan:箇条4~7 Do:箇条8 Check:箇条9 Act:箇条10)で構成されています。

ISO/DIS 9001の構成
Plan
(計画)

4 組織の状況

 4.1 組織及びその状況の理解
 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

5 リーダーシップ

 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
 5.2 品質方針
 5.3 組織の役割、責任及び権限

6 計画

 6.1 リスク及び機会への取組み
 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
 6.3 変更の計画

7 支援

 7.1 資源
 7.2 力量
 7.3 認識
 7.4 コミュニケーション
 7.5 文書化した情報

Do
(実施)

8 運用

 8.1 運用の計画及び管理
 8.2 製品及びサービスに関する要求事項の決定
 8.3 製品及びサービスの設計・開発
 8.4 外部から提供される製品及びサービスの管理
 8.5 製造及びサービス提供
 8.6 製品及びサービスのリリース
 8.7 不適合なプロセスアウトプット、製品及びサービスの管理

Check
(チェック)

9 パフォーマンス評価

 9.1 監視、測定、分析及び評価
 9.2 内部監査
 9.3 マネジメントレビュー

Act
(処置・改善)

10 改善

 10.1 一般
 10.2 不適合及び是正処置
 10.3 継続的改善

3.DIS 9001の主な改訂内容

 DIS 9001の主な改訂内容は、現行のISO 9001の基本的な取組みを活かしながら、他のISOマネジメントシステムの規格構成の共通化に伴い、全体的に強化・明確化されているのが特徴です。

 今回の改訂は、一見大きな変更は無いように見受けられますが、①構造の大きな変更や、②リーダーシップやリスク及び機会取り組み、③要求事項の追加・強化、④新たな文書化・記録の要求などから、実際には、改訂に対して組織には相当な負荷が掛かると推測されます。

条項番号
改訂ポイント
ISO9001:2008
との比較
新規 強化
4. 組織の状況 【4.1】組織及びその状況の理解として、組織の外部/内部の課題を決定する。  
【4.2】利害関係者とそのニーズ及び期待を決定する。  
5. リーダーシップ 【5.1.1】QMS有効性に対する責任、戦略的な方向性及び組織の状況を両立させる。  
【5.2】品質方針は、必要に応じて利害関係者が入手可能とする。  
6. 計画
【6.1】リスク及び機会を決定し、取り組むプロセスをQMSに統合し、実施・有効性を評価する。  
【6.2,6.3】関連する部門、階層及びプロセスにおいて、品質目標及びそれを達成するための計画を策定及び変更を管理する。  
7. 支援
【7.1.6】製品及びサービスの適合を達成するための知識を決定し、利用できる状態にする。  
【7.3】品質方針、品質目標や要求事項に適合しないことの意味を認識させる。  
【7.5】“文書”“記録”の表現が“文書化した情報”に統一された。  
8. 運用
【8.1】QMS運用のプロセスを計画する。また、計画の変更によって生じた結果をレビューし、有害な影響を軽減する処置をとる。  
【8.2】緊急時対応に関する要求事項について、顧客とのコミュニケーションを確立する。  
【8.3】製品及びサービスへの要求事項が確立されていない場合、又は明確にさえていない場合には、設計・開発プロセスを確立する。  
【8.4】外部提供者から直接顧客に引き渡される場合、製品及びサービスが規程要求事項に適合していることを確実にする。  
【8.5】製造及びサービスに関連するリスクや性質などを考慮した、引渡し後の活動を実施する。  
9. パフォーマンス評価
【9.3】マネジメントレビューのインプットに、QMSの外部及び内部の課題の変化等が追加された。  
10. 改善 【-】予防処置の要求はなくなった。ただし、【6.1】項で同様の取組みが要求される。  

4.推奨される改正対応

  1. 品質マニュアルをISO 9001:2015に合わせて全面的に改訂する。
  2. 現実に即し、活用しやすいように、業務プロセスの規定や手順を改訂し、ムリ・ムダのないマネジメントシステムにリフォームする。
  3. ISO 9001:2015に適合したQMSを運用して、内部監査、マネジメントレビューを実施し、移行審査に備える。
  4. 経営と一体となった有効的なマネジメントシステムを構築し、成果が出るように運用する。
  5. ISO 14001(環境)等、他のマネジメントシステムとの一元化も視野に入れて見直しする。
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