コンサルティング事例

JIS Q 9091:2016 品質マネジメントシステム―プラスチック再生材料―事業プロセスパフォーマンスに関する指針

1.企業ニーズ

支援先企業は、市町村から引き取ったプラスチック製容器包装廃棄物を原料とする材料リサイクル再商品化事業を行っており、リサイクルプラスチックペレット等の生産実績がある。ISO9001, 14001は認証取得済みであったが、他社との競争力強化の目的でJIS Q 9091認証取得を目指すこととなった。

2.実施内容

  • (1)附属書(宣言書)の整備
    JIS Q 9091は、自動車メーカー等に提供するプラスチック再生材料(ペレット等)の品質保証のための規格として2016年10月に発行された。本規格はISO9001:2015の上乗せ規格であり、プラスチック再生材料の品質確保のために品質管理方法等を附属書(宣言書)に取決め、これに基づく工程管理等を実施することでプラスチック再生事業でのパフォーマンス向上に寄与するための規格である(下図参照)。

    JISQ9091

    一方でJIS Q 9091は、自動車部品等の用途向けの規格であるため、支援先企業のようなプラスチック製容器包装廃棄物の材料リサイクル再商品化事業者には馴染まない管理項目や内容が多い。そこで、別途、公益法人日本容器包装リサイクル協会(“容リ協”)が発行している「材料リサイクル再商品化事業者向けJIS Q 9091:2016附属書例の使い方ガイド」に記載されている附属書(宣言書)例を主たる雛形として、JIS Q 9091附属書の内容も適宜加えながらサンプル文書を作成した。支援先の担当者にヒアリングを行ない、サンプル文書を修正することで同社のISO9001での運用状況を文書に落とし込んだ。更に、JIS Q 9091で追加実施する管理項目・内容を盛り込むことで、同社で無理なく運用可能な附属書(宣言書)の整備を完了した。
  • (2)内部監査員の養成
    ISO9001の内部監査員を対象としたJIS Q 9091上乗せ規格の差分を教育し、JIS Q 9091の内部監査員の養成を実施した。本規格の内部監査員養成セミナーの修了証発行は、当社としても初めてであった。
  • (3)全社教育
    支援先企業の希望もあり、JIS Q 9091の新たな導入を周知し、ISO活動の更なる定着のために、ISO9001(JIS Q 9091)、ISO14001の全社員向けの教育を実施した。

3.結果

  • (1)附属書(宣言書)の整備に要した期間
    約2ヶ月間で運用に適した附属書(宣言書)の整備を完了した。その後、約3ヶ月間の運用期間を経て審査機関による受審に至った。
  • (2)審査
    JIS Q 9091の審査はISO9001の上乗せ規格であるため、ISO9001の審査と同時に実施される。審査では、少数の指摘事項はあったが、対応後に問題なく認証登録された。