コンサルティング事例

新5S活動による製造現場のカイゼン活動

認証取得企業の概要

  • 業種:産業機械製造・修理
  • 従業員規模:45人
  • 支援期間:8ヶ月

1.企業ニーズ

同社は、熱交換器類、化学工業用機械、一般産業用機械の設計、製作、据付等を事業内容として、展開しています。業務では、鉄板等の金属を材料として扱い、それを切削加工する機械類も多くあり、現場や工場周囲は、雑然とした感があり、顧客訪問の際も、経営者を含めて、より好感度アップの印象を与えることが、今後の事業展開(顧客獲得)に必要と感じ取られていました。
以前にも、5S活動を自社独自で行いましたが、マンネリ化と活動の継続ができず、今一度、5S活動を実施し、継続をできないかと模索されておりました。
このたび、同社は再度5S活動にチャレンジするに当たり、前回の不首尾に鑑みて、単なる5S活動ではなく、①継続ができること、②ムダ作業を可能な限りなくすること、③現場の「見える化」を進め、業務の進捗や工具・油類や原材料の分かりやすい管理を目指されました。そこで、当社に相談があり、目的を達成するための活動をどの様に展開するかに関して、現状調査の結果、新5S活動を採用され、展開活動を進めることとなりました。

2.実施内容

(1) 現状調査結果

  • 工場内部は、雑然とし、整理整頓が不十分であり、通路はある程度分かるものの、道具や材料はあまり意図されずに置かれていた感がありました。また、工具類は置き場所は決まっていたが、表示がなく、設備も移動式のものは定位置が決まっていません。
  • 作業している場所は、やや雑然とした状態で、材料、製品、工具等の置き場等も明確ではなく、清掃を含めた管理が不十分なため、結果として、作業の品質が低い印象を与えかねませんでした。
  • 工場周囲の内、外部から目に付かない箇所は、全く整理整頓ができておらず、材料の残りや架台、中間製品等が乱雑にシートも破れた箇所も散見された状態で放置?に近い状態でした。

(2) 実施内容

職場単位でチームを構成して、各チーム毎に目標を決めて、小集団活動により3Sを実施していただきました。当然、間接部門においても、同様の活動を展開しました。チームミーティング(15分)を週1度程度、実施し、整理・整頓や清掃の基準やルールを決めて、6ヶ月間活動しました。特に、目に付かない箇所は重点的に行い、月1度の報告会とパトロール(安全含む)で、カイゼンを進めました。カイゼン前後の写真を撮り、「改善シート」に記録して、継続できるように工夫しました(PDCAサイクルを採用)。
カイゼン後を新たな標準と決めました。

3.結果

  • (1) 工場内部は、整理整頓と清掃が浸透して、全体にスッキリしました。通路も以前よりも広くなり、空間が広がり場所が増えました。また、内部の少し煙った感じの空気が以前より良くなり、清掃の効果も出ました。
    また、工具類を初めとする備品は、識別(明示)され、定位置が決まり、探すムダが少なくなりました。
  • (2) 裏側の見えない箇所は、除草し、舗装面とすることで清掃が楽になり、整理がかなり進み、その結果整頓が上手く進み、以前とは見違えるように綺麗な状態(清潔)となり、見える化も効果を発揮してきました。
  • (3) 間接部門においては、書類やファイルの整理整頓や机上/机内の備品の整理整頓、共通備品の明確化が行われ、事務所内もスッキリとしました。また、ファイルや整理の処分により、倉庫(部屋)の半分が別の用途に利用できるようになりました。
  • (4) パトロールの常時実施とそれに伴う指摘内容を「改善シート」等を活用しPDCAシステムの運用でカイゼンの定着ができる体制ができました。
    今後は、これらのある程度成功した経験を継続させるために、活動そのものが自分たちのためになるものであることを理解させ、従業員への意識の徹底や浸透させていくことが、課題である。