ISO発行・改訂情報

ISO/FDIS 14001(環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き)の概要

ISO14001:2015移行支援はこちらをご覧ください。

1.改訂版ISO14001の発行時期

 2015年7月2日に、ISO 14001:2004「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」の改訂版(案)にあたるFDIS 14001(最終国際規格案/Final Draft International Standard)が発行されました。

 FDIS 14001は、各国のISO加盟機関で構成される委員会での審議・投票を経て、2015年9月頃に、ISO 14001:2015が発行される予定です。

 また、改訂版ISO発行後3年以内に改訂新規格に移行する必要があり、移行審査を受けるにあたっては、EMS(環境マネジメントシステム)をISO 14001:2015版に準拠した変更・運用している実績(内部監査、マネジメントレビュー)が必要となります。また、運用開始時には、改めて新EMSの社員教育や内部監査員への教育も必要となります。

2.FDIS 14001の構成

 ISO14001:2015は、構成が大きく変わります。MSS共通テキスト(HLSとも呼ばれる)を採用して開発されており、箇条4~10からなるPDCA(Plan:箇条4~7 Do:箇条8 Check:箇条9 Act:箇条10)で構成されています。

  また、ISO9001(品質)も、同様の箇条10からなる構成で改訂作業中であり、ISOマネジメントシステム規格構成の共通化が進んでいます。

ISO/FDIS 14001の構成
Plan
(計画)

4 組織の状況

 4.1 組織及びその状況の理解
 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
 4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定
 4.4 環境マネジメントシステム

5 リーダーシップ

 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
 5.2 環境方針
 5.3 組織の役割、責任及び権限

6 計画

 6.1 リスク及び機会への取組み
 6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定

7 支援

 7.1 資源
 7.2 力量
 7.3 認識
 7.4 コミュニケーション
 7.5 文書化した情報

Do
(実施)

8 運用

 8.1 運用の計画及び管理
 8.2 緊急事態への準備及び対応

Check
(チェック)

9 パフォーマンス評価

 9.1 監視、測定、分析及び評価
 9.2 内部監査
 9.3 マネジメントレビュー

Act
(処置・改善)

10 改善

 10.1 一般
 10.1 不適合及び是正処置
 10.2 継続的改善

3.FDIS 14001の主な改訂内容

 FDIS 14001の主な改訂内容は、現行のISO 14001の基本的な取組みを活かしながら、他のISOマネジメントシステムの規格構成の共通化と共に、要求事項が強化・明確化されているのが特徴です。

 今回の改訂は、一見大きな変更は無いように見受けられますが、①構造の大きな変更や、②戦略的な環境管理、事業プロセスとの統合、リスク及び機会への取組み、ライフサイクル思考、等の観点からの要求事項が追加・強化されており、移行作業に当たって、組織には相当な負荷がかかると推測されます。

(条項番号)改訂ポイント ISO14001:2004
との比較
新規 強化
4. 組織の状況 【4.1】組織及びその状況の理解として、組織の外部/内部の課題を決定する。  
【4.2】利害関係者のニーズ及び期待を決定する。  
5. リーダーシップ 【5.1】EMS有効性に対する説明責任、戦略的な方向性及び組織の状況を両立させて事業プロセスと統合する。  
【5.2】環境方針には、環境保護に対するコミットメント、環境パフォーマンス向上のためのEMSの継続的改善へのコミットメントが含まれる。  
6. 計画
【6.1】リスク及び機会に取り組むプロセスをEMSに統合し、実施・有効性を評価する。  
【6.1.2】ライフサイクルの視点を考慮した環境側面及び環境影響を特定する。  
【6.1.4】著しい環境側面、順守義務、特定したリスク及び機会のための取組みを計画する。  
【6.2.2】環境目標達成のための活動の組織の事業プロセスへ統合を検討する。  
7. 支援
【7.4.2】内部コミュニケーションを管理する。  
【7.5】“文書”“記録”の表現が“文書化した情報”に統一された。  
8. 運用
【8.1】ライフサイクルの視点に従った、運用基準を設定し、実施し、管理する。  
9. パフォーマンス評価
【9.1】環境パフォーマンスの監視、測定、及び評価の対象、基準、時期を決定する。  
【9.3】マネジメントレビューのインプットに、EMSの外部及び内部の課題の変化、EMS維持のための必要な資源の妥当性等が追加された。  
【9.3】マネジメントレビューのアウトプットに、EMSの妥当性・有効性の結論、組織の戦略的方向性に関する事項等が追加された。  
10. 改善 【10.3】環境パフォーマンスの向上のために、EMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善する。  
【-】予防処置の要求はなくなった。ただし、【6.1】項で同様の取組みが要求される。  

4.推奨される改正対応

  1. 環境マニュアルをISO14001:2015に合わせて全面的に改訂する。
  2. 現実に即し、活用しやすいように、業務プロセスの規定や手順を改訂し、ムリ・ムダのないマネジメントシステムにリフォームする。
  3. ISO14001:2015に適合したEMSを運用して、内部監査、マネジメントレビューを実施し、移行審査に備える。
  4. 経営と一体となった有効的なマネジメントシステムを構築し、成果が出るように運用する。
  5. ISO9001(品質)等、他のマネジメントシステムとの一元化も視野に入れて見直しする。
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