コラム

ベテラン審査員から視たISO9001の改善 - 内部監査 - 2

監査目的に対し監査結果をどのように評価するのですか

成熟した品質マネジメントシステムが運用されている企業様の監査事務局及び管理責任者は、"適合性監査"と"有効性監査"のバランスを見ることも重要です。限られた監査時間で目的を果たす必要があります。いずれの監査においても重要なことは、監査結果を記録することです。

今後は特に被監査プロセスの監査ポイントに関する運用状況ついて、問題点は不適合又は観察事項となって記録されますが、問題点以外のPDCA運用状況も是非記録することを推奨します。この効果は、各監査員の監査力量を知ることができ、その評価結果より力量向上教育に繋がることになります。

全監査チームからの報告により、管理責任者は、まず「チェックシート」に従って監査が実施され、特に監査ポイントに関しての監査結果が把握できれば、内部監査の有効性が確認できます。

自社の品質マネジメントシステムの適合性を含め有効性について問題点が浮彫りにされることにより、監査の目的が果たせたことになります。これらの結果は最終監査報告書に総括され、マネジメントレビューにインプットされます。

経営トップが内部監査に対して関心が薄いようです

マネジメントレビューにおける内部監査の結果はインプットされていますが、毎回、部署あるいはプロセス毎の不適合及び観察事項の件数、それも主に記録や文書の管理に関する内容であり、経営トップに"もっと関心を"と要望するのは無理でしょう。

経営トップは、マネジメントレビューで、品質方針にコミットした"望まれる成果を得る"品質マネジメントシステムが運用され、成果を上げているか、いろいろな切り口から情報を知りたい、また知る必要があります。

その中で、監査(内部・外部)結果は、身内から得る情報以外の品質マネジメントシステムに関する評価情報です。それに応えるためには、"適合性監査"と"有効性監査"の両方の結果をインプットすれば、品質マネジメントシステムの弱点や問題点を知ることになり、継続的改善に繋がるレビュー結果がアウトプットされることになり、経営トップは、内部監査結果に大いに期待し、逆に監査要望事項も期待できます。

有効性監査実施する上で監査員にどのような力量が必要ですか

監査基準と監査証拠を対比し、"決められたことが守られているか"を評価し、問題点を発見できる力量が、適合性監査には必要です。そして有効性監査を実施するためには、"情報収集力"がまず必要となります。

経営トップの考え、組織の経営概況、各プロセスの業務環境の変化、活動状況と問題発生状況等を担当する被監査プロセス及び監査ポイントに関連し監査前に完璧でなくともある程度収集できることが望ましいといえます。

それらをベースに「チェックリスト」に問題点に関しPDCAが廻っているかを評価できる質問事項の準備が出来ること、これには適切な"問題意識"を持つことの力量が問われます。監査の結果から被監査プロセスの品質マネジメントシステムの有効性を判断し、問題点として指摘できる"判断力"、それは経営トップの立場と同じといっても良いでしょう。

以上のような監査員への情報提供や情報収集を組織の正式な監査活動とし環境を整え、監査のための"問題意識"と"判断力"の力量向上が今後より監査員教育として必要になってきます。

経営者が期待する、そして顧客満足を向上させる継続的改善のチャンスが内部監査に期待できることと思います。

無料見積もりはこちらまで